アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
僕達はおばさんの個展会場へ再び戻ってきた。
「彼のこと何も知らずにお礼も言えませんでした。本当にありがとうございました」
清水さんはおばさんに向かって頭を下げた。
「良かったね波瑠ちゃん」
おばさんはそう言いながら泣いてくれていた。
「まさか……」
清水さんはある写真に釘付けになっていた。
それは僕も初めて見る物だった。
「この赤い服装の女性が彼を……」
それはあの鉄橋での一場面。
僕の正当防衛を証明してくれた写真だった。
(おばさんありがとう。本当にありがとう)
僕達は命の恩人のおばさんの撮したSLからの写真を何時まで見つめていた。
「本当に良かったな」
その言葉に驚き慌てて横を見ると、綾さんの結婚相手だと言う水野孝之さんがいた。
清水さんから、島の中学に赴任することは聞いていた。
「波瑠との約束を果たしたい」
だから僕は言ったのだ。
それは、働きながら勉強をして高卒の資格を取ることだった。
「島には高校がないから、高卒程度の勉強を見てほしいです」
「アンタ、高校で教える資格持っているんだろう? だったらそれを生かしてみたらどうだい? 綾ちゃんだけじゃなく、この子の勉強も見てやってほしいよ」
僕が言ったら、おばさんはそう言いながら泣いていた。
水野孝之さんは頷きながら、僕の肩に手を置いていた。
おばさんが鉄橋の上から撮ったとされる荒川の写真。
これがなかったなら僕の今はなかった。
全てが運命だったのだろうか?
僕とあのネンショ始まって以来の問題児との出会いまでもが僕を無罪に導くための歯車の一部だったのかも知れない。
僕は本当は出来た人間ではない。
慈愛に満ちたとか買いかぶらないでほしい。
だから未だに許せない。
あの問題児を許せる訳がないんだ。
それでも、そんな奇跡を起こされてくれた軌跡に感謝した。
清水さんだけではない。
これから僕の恩師になるかも知れない、水野孝之さんとの出逢いに感謝した。
「彼のこと何も知らずにお礼も言えませんでした。本当にありがとうございました」
清水さんはおばさんに向かって頭を下げた。
「良かったね波瑠ちゃん」
おばさんはそう言いながら泣いてくれていた。
「まさか……」
清水さんはある写真に釘付けになっていた。
それは僕も初めて見る物だった。
「この赤い服装の女性が彼を……」
それはあの鉄橋での一場面。
僕の正当防衛を証明してくれた写真だった。
(おばさんありがとう。本当にありがとう)
僕達は命の恩人のおばさんの撮したSLからの写真を何時まで見つめていた。
「本当に良かったな」
その言葉に驚き慌てて横を見ると、綾さんの結婚相手だと言う水野孝之さんがいた。
清水さんから、島の中学に赴任することは聞いていた。
「波瑠との約束を果たしたい」
だから僕は言ったのだ。
それは、働きながら勉強をして高卒の資格を取ることだった。
「島には高校がないから、高卒程度の勉強を見てほしいです」
「アンタ、高校で教える資格持っているんだろう? だったらそれを生かしてみたらどうだい? 綾ちゃんだけじゃなく、この子の勉強も見てやってほしいよ」
僕が言ったら、おばさんはそう言いながら泣いていた。
水野孝之さんは頷きながら、僕の肩に手を置いていた。
おばさんが鉄橋の上から撮ったとされる荒川の写真。
これがなかったなら僕の今はなかった。
全てが運命だったのだろうか?
僕とあのネンショ始まって以来の問題児との出会いまでもが僕を無罪に導くための歯車の一部だったのかも知れない。
僕は本当は出来た人間ではない。
慈愛に満ちたとか買いかぶらないでほしい。
だから未だに許せない。
あの問題児を許せる訳がないんだ。
それでも、そんな奇跡を起こされてくれた軌跡に感謝した。
清水さんだけではない。
これから僕の恩師になるかも知れない、水野孝之さんとの出逢いに感謝した。