アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
担任は携帯電話の一件で何度か接触を図った。
でも軽く交わされ、突っぱねられたそうだ。
その時、綾ちゃんの置かれた家庭環境に心を痛めたそうだ。
だから、綾ちゃんが急に退学したことを心配していたそうだ。
「綾ちゃんなら大丈夫。幸せに暮らしているから」
私はそう言いながら例の週刊誌を指し示した。
「これ絶対に内緒。実は綾ちゃんはこの人と結婚したの」
「えっ、えっーー!?」
突拍子のない声を張り上げた担任の口を私は慌てて塞いだ。
「『あいつはダメだ。ライバルが多すぎる』って言ってたけど、正体知ってたの?」
私の言葉に担任は頷いた。
「実は私の父も王子様なのよ。私と水野先生はイトコなの。私の父も水野家の次男坊だったんだ」
「えっ、えっーー!?」
担任は又突拍子のない声を張り上げた。
「本当のとこは良く解らないんだけど、何処やらの藩主の子孫なんだよね」
「そうらしいな。でもまさか……」
担任は本当に何も知らなかったようだ。
『雪の降る中。この子は自転車で学校の行事に参加しようと頑張ったんだけど、警備員に止められんだ』
急に伯母様の家での水野先生言葉を思い出した。
(あっ、あれはそう言う意味だったの?)
でも綾ちゃんにとっては一番触れてほしくない話題のはずだ。
だからあんなにおどおどしていたのか?
『家族の具合が悪くなって車で送れなくなってね。佐々木は主役だった。でも……だからって訳じゃなく、責任感が強くて努力家なんだ』
だから水野先生は泣きながら綾ちゃんを抱き締めていたのか?
『あの後で、君が来た道を目で追ってみたんだ。雪の中に自転車の車輪の跡が続いていて、思わず守ってやりたいと思った。だから……だから』
水野先生も震えていた。
でも必死に耐えて、そして遂に言い放ったんだ。
『だからもっと君が好きになった』
と……。
『ハハーン。そう言うことか?』
『ん、何だ清水?』
『それで水野先生がメロメロになった訳ね』
その発言は水野先生の顔を真っ赤に染めさせた。
よせばいいのに私は水野先生をからかったのだ。
「綾ちゃんに何か伝言ある? 私ね、これから島へ行って暮らすことになったの」
「まさか、お前さんまで結婚する気じゃないんだろうな?」
「するかもよ」
私は物凄く冗談ぽく言った。
「あっ、『幸せになれよ!!』って伝えておいてくれ」
担任は手を振りながら言った。
でも軽く交わされ、突っぱねられたそうだ。
その時、綾ちゃんの置かれた家庭環境に心を痛めたそうだ。
だから、綾ちゃんが急に退学したことを心配していたそうだ。
「綾ちゃんなら大丈夫。幸せに暮らしているから」
私はそう言いながら例の週刊誌を指し示した。
「これ絶対に内緒。実は綾ちゃんはこの人と結婚したの」
「えっ、えっーー!?」
突拍子のない声を張り上げた担任の口を私は慌てて塞いだ。
「『あいつはダメだ。ライバルが多すぎる』って言ってたけど、正体知ってたの?」
私の言葉に担任は頷いた。
「実は私の父も王子様なのよ。私と水野先生はイトコなの。私の父も水野家の次男坊だったんだ」
「えっ、えっーー!?」
担任は又突拍子のない声を張り上げた。
「本当のとこは良く解らないんだけど、何処やらの藩主の子孫なんだよね」
「そうらしいな。でもまさか……」
担任は本当に何も知らなかったようだ。
『雪の降る中。この子は自転車で学校の行事に参加しようと頑張ったんだけど、警備員に止められんだ』
急に伯母様の家での水野先生言葉を思い出した。
(あっ、あれはそう言う意味だったの?)
でも綾ちゃんにとっては一番触れてほしくない話題のはずだ。
だからあんなにおどおどしていたのか?
『家族の具合が悪くなって車で送れなくなってね。佐々木は主役だった。でも……だからって訳じゃなく、責任感が強くて努力家なんだ』
だから水野先生は泣きながら綾ちゃんを抱き締めていたのか?
『あの後で、君が来た道を目で追ってみたんだ。雪の中に自転車の車輪の跡が続いていて、思わず守ってやりたいと思った。だから……だから』
水野先生も震えていた。
でも必死に耐えて、そして遂に言い放ったんだ。
『だからもっと君が好きになった』
と……。
『ハハーン。そう言うことか?』
『ん、何だ清水?』
『それで水野先生がメロメロになった訳ね』
その発言は水野先生の顔を真っ赤に染めさせた。
よせばいいのに私は水野先生をからかったのだ。
「綾ちゃんに何か伝言ある? 私ね、これから島へ行って暮らすことになったの」
「まさか、お前さんまで結婚する気じゃないんだろうな?」
「するかもよ」
私は物凄く冗談ぽく言った。
「あっ、『幸せになれよ!!』って伝えておいてくれ」
担任は手を振りながら言った。