アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
母はJロックのコーナーにいた。
私は遠巻きに母を見ながら、ガールズロックのDVDを見ていた。
でもやはり気になって、母の様子を見に来てしまう。
(何遣ってるんだろ?)
母はずっと一カ所から離れなかった。
「あ……、RDか?」
私がは母の手元を覗き込むと、母"あ"のボックスのCDを指で探していた。
母は音楽好きだ。
下手すりゃ一日中でも聴いている。
でも父は、自分から音楽番組を掛けておいてから母に向かって言う。
『いい加減に卒業しろ』
と――。
父は本当に意地悪だった。
「あ、あった」
母はそう言いながら、ベストアルバムと書かれたCDを手にした。
「今日の、朝の占いで自分へのご褒美を! ってあったの」
さっきまで泣いてた事が嘘のように母はニコニコしていた。
「あっ!」
母はCDに付いているシールを見て驚きの声を上げた。
「どうしたの?」
私は何事かと思って、母の元へ駆け付けた。
「ほら、ここ!」
母の指の下にはCD発売イベントの告知があった。
「今日は三時から熊谷だって」
母は飛び上がって喜んでいた。
「確か新宿から埼京線が」
「うんそれそれ。早く行こう」
母は人が変わったかのようにはしゃいでいた。
私は遠巻きに母を見ながら、ガールズロックのDVDを見ていた。
でもやはり気になって、母の様子を見に来てしまう。
(何遣ってるんだろ?)
母はずっと一カ所から離れなかった。
「あ……、RDか?」
私がは母の手元を覗き込むと、母"あ"のボックスのCDを指で探していた。
母は音楽好きだ。
下手すりゃ一日中でも聴いている。
でも父は、自分から音楽番組を掛けておいてから母に向かって言う。
『いい加減に卒業しろ』
と――。
父は本当に意地悪だった。
「あ、あった」
母はそう言いながら、ベストアルバムと書かれたCDを手にした。
「今日の、朝の占いで自分へのご褒美を! ってあったの」
さっきまで泣いてた事が嘘のように母はニコニコしていた。
「あっ!」
母はCDに付いているシールを見て驚きの声を上げた。
「どうしたの?」
私は何事かと思って、母の元へ駆け付けた。
「ほら、ここ!」
母の指の下にはCD発売イベントの告知があった。
「今日は三時から熊谷だって」
母は飛び上がって喜んでいた。
「確か新宿から埼京線が」
「うんそれそれ。早く行こう」
母は人が変わったかのようにはしゃいでいた。