アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
「川に行っているとばかり思っていたわ」
伯母は私の首に手を回していた。
母のために泣いてくれている伯母。
私は伯母の優しさにいつも励まされてきた。
「お父さんが恵を叩いている所を見ていたの。私何も出来なかった」
伯母の言葉を聞きながら、私は叔母の様子を伺った。
叔母は黙ったまま頭を下げた。
川から母が戻った。
叔母は伯母に促され、母の前に出て謝った。
母は黙って聞いていた。
「恨んでいたわ。あれからお父さん私にきつく当たってくれたから」
「そうだ。この際全部ぶちまけちゃったら」
伯母が提案する。
母は首を振りながら父を見た。
「聞かせたくないんだ」
母がポツンと言う。
伯母は何度も頷いた。
三姉妹は、ドライブインの駐車場向かった。
私は母の事が心配で同行する事にした。
母があの日泣きながら言っていた
『私はお父さんから可愛がられていない!』
の意味がやっと判った。
私は車に揺られながら、祖父に愛されなかった母の哀しみの深さに思いを馳せていた。
『私は初めて見た。あんな哀しそうな目をした人に』
渋谷で会った老人の言葉が又脳裏に浮かぶ。
私は、これから起きる全てのことを忘れまいとして身構えた。
伯母は私の首に手を回していた。
母のために泣いてくれている伯母。
私は伯母の優しさにいつも励まされてきた。
「お父さんが恵を叩いている所を見ていたの。私何も出来なかった」
伯母の言葉を聞きながら、私は叔母の様子を伺った。
叔母は黙ったまま頭を下げた。
川から母が戻った。
叔母は伯母に促され、母の前に出て謝った。
母は黙って聞いていた。
「恨んでいたわ。あれからお父さん私にきつく当たってくれたから」
「そうだ。この際全部ぶちまけちゃったら」
伯母が提案する。
母は首を振りながら父を見た。
「聞かせたくないんだ」
母がポツンと言う。
伯母は何度も頷いた。
三姉妹は、ドライブインの駐車場向かった。
私は母の事が心配で同行する事にした。
母があの日泣きながら言っていた
『私はお父さんから可愛がられていない!』
の意味がやっと判った。
私は車に揺られながら、祖父に愛されなかった母の哀しみの深さに思いを馳せていた。
『私は初めて見た。あんな哀しそうな目をした人に』
渋谷で会った老人の言葉が又脳裏に浮かぶ。
私は、これから起きる全てのことを忘れまいとして身構えた。