アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 県立八幡西高校。
一般的な女子校だった。
私は此処の一年生。

別に制服が可愛いから選んだ訳ではない。
それでも、今時にしては変わった制服だった。


アンサンブルのブレザーにプリーツスカート。

此処までは普通か……


問題は……
帽子は紺のベレーに、襟元には同素材の蝶ネクタイ。


夏はベストに紺のリボン。

今時流行んないよ。
それに好みじゃない。


でも可愛いって評判だったから不思議。


きっとこの制服を着たくて此処を選んだと言いたかったのだと思うけどね。


後一カ月もすると、又ベレー帽になる。
みんなそれを待っている。
五分でもベットにいたいから、寝ぐせ隠しに丁度良いんだって。

そりゃ私だってもっといっぱい寝ていたいとは思うけれどね。


ソンでもって学校着くなりヘアースタイル整える。
それで一件落着。
だから、薄っぺらな鞄には何時もヘアーブラシが入っていた。



 それにもう一つ流行んない物。


それがこのピンクラインのバレーシューズ。


二年生は黄色。
三年生は緑。
なのに何故?


青とか、赤とか無かったのかい……
って何時も思っていた。


そんな事だから、間違えて履いてしまったのかな?

愛着ないからな……


それとこのシューズボックスだ。
これじゃまるで下駄箱だ。

去年見学に行った私立高校ではロッカー風で鍵付きだった。

セキュリティーがしっかりしていると思ったけど、父が反対したんだ。
でも、高校だけは出してやるとか言われて……

結局この学校になった訳なんだ。




 それにしてもさっきから何なんだ?


私の顔をジロジロと……

ま、イヤな気分はしないけど……




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