アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 (あれっ!?)

ふと疑問に思った。

確か教育実習は、自分の出身校で行うはずでは?

初夏に来た先生が確かそんなこと言っていたな?

それに女性だった……


此処は八幡西高校。
押しも押されもしない、女子の滑り止め的な高校だったのだ。


(えっー!? それがどうして? なんで……どうして男性が女子高に来られるんだ?)


「えっー!? 何で男子大学生が女子高に?」

私は堂々と呟いた。

この際……
疑問点はハッキリと示した方がいいと思ったからだった。




 「何で此処に来たか不思議だってことか?」

私は頷いた。


「ほら、大規模な統廃合あったろ? あの影響だ」


(そう言えば……)

家から一番近い高校も廃校になったんだ。

だから私は隣町の高校に来ている。


(彼処があれば、楽だったよなー)


「俺の高校は無くなったんだ。中学でも実習出来るんだが、スケジュールが合わなくて断られた」


「でも普通五月……」


「そうだよな、普通は五月だよな。だから九月からやっている此処でもいいってことで」


「ふーん。まあ頑張ってね水野先生」


「高校だけじやなく、中学の資格も取っておきたいので、三週間以上通うからよろしくな」


「へえーそうなんだ。ところでその中学は?」

私は面白がって次々と質問した。




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