アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
「綾ちゃん……恵には本当は好きな人がいたの」
布団の中で伯母が言う。
母には昔年下の恋人がいて、祖父母は結婚させてやる気だったらしい。
でも母は突然別れてきた。
理由も何も言わずに耐えていた。
「私が悪かったのかな? 妹に何とかしたらと言ったから」
「妹って母……」
「ううん、一番下の妹」
「えっ、あの叔母さんですか? プリンの?」
「そうなの」
伯母はその後で辛そうに言った。
「まさか恵が、あんな辛い体験をしているなんて夢にも思わなかったから」
と――。
この恋の話にも叔母の影があったようだ。
「私が言ったのよ。『アンタが恋人なんか作るから、恵が変な男に引っかかるんだ』って」
伯母が言っていた。
「そのせいで、恵は悩んだのよ。『私より年下の人を絶対お兄さんなんて呼ばないから』そう言われて」
又しても叔母だった。
「そんなに叔母さんって凄い人だったの?」
私の言葉に伯母は驚いたようだった。
「違うのよ。妹が凄いんじゃなくて、父だった。父に物凄く可愛がられていたから天狗になったのよ」
私は又もや思い出した。
『私はお父さんに可愛がられてなんかいない!』
の言葉を。
祖父は叔母を可愛がっていた。
そのために母は虐げられてきたのだった。
叔母の欲求不満の解消材料として……
『高校を卒業したら就職が決まっていたのよ。でもお父さんに言われたの。『お前のような馬鹿女を就職させられる訳がない。お前は家で働け』って』
あの日母はそう言った。
その時叔母は……
『そんな事いつまで覚えてる。とっとと忘れろ!』
と言った。
でも、考えてみたら叔母からあのプリン事件の真相を語ったのだ。
叔母も気にしていたのだ。
私はそう思うことにした。
布団の中で伯母が言う。
母には昔年下の恋人がいて、祖父母は結婚させてやる気だったらしい。
でも母は突然別れてきた。
理由も何も言わずに耐えていた。
「私が悪かったのかな? 妹に何とかしたらと言ったから」
「妹って母……」
「ううん、一番下の妹」
「えっ、あの叔母さんですか? プリンの?」
「そうなの」
伯母はその後で辛そうに言った。
「まさか恵が、あんな辛い体験をしているなんて夢にも思わなかったから」
と――。
この恋の話にも叔母の影があったようだ。
「私が言ったのよ。『アンタが恋人なんか作るから、恵が変な男に引っかかるんだ』って」
伯母が言っていた。
「そのせいで、恵は悩んだのよ。『私より年下の人を絶対お兄さんなんて呼ばないから』そう言われて」
又しても叔母だった。
「そんなに叔母さんって凄い人だったの?」
私の言葉に伯母は驚いたようだった。
「違うのよ。妹が凄いんじゃなくて、父だった。父に物凄く可愛がられていたから天狗になったのよ」
私は又もや思い出した。
『私はお父さんに可愛がられてなんかいない!』
の言葉を。
祖父は叔母を可愛がっていた。
そのために母は虐げられてきたのだった。
叔母の欲求不満の解消材料として……
『高校を卒業したら就職が決まっていたのよ。でもお父さんに言われたの。『お前のような馬鹿女を就職させられる訳がない。お前は家で働け』って』
あの日母はそう言った。
その時叔母は……
『そんな事いつまで覚えてる。とっとと忘れろ!』
と言った。
でも、考えてみたら叔母からあのプリン事件の真相を語ったのだ。
叔母も気にしていたのだ。
私はそう思うことにした。