アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
「ねえ綾ちゃん知ってるかな? 家の先祖って、平家一門だったかも知れないのよ」
「えっ!? 平家って、平清盛の?」
突然の伯母の話に、私はビックリ仰天した。
源平合戦で敗北した平家。
清盛の……子供の内の誰か隠し子だったらしい。
伯母の話だと、祖父が調べたとのことだった。
尤も、祖父はホラ吹きとしても有名だったらしい。
だからあてにはならないようだ。
でも祖父の産まれた田舎には、平家の落人伝説は色濃く残っているようだった。
祖父の故郷は凄い山の中だと聞いている。
だから逃げたのだ。
平家の血筋だったから逃げたのだ。
私はその話はまんざら嘘でもないと思った。
「世が世なら……」
「私達は平家のお姫様」
伯母はそう言って笑った。
「だから恵は、馬鹿にされることはないんだよ」
伯母はそう言いながら、体を背けた。
私は泣いているのだと思った。
その時感じた。
きっと伯母は母が父に虐げられている事実を知っているのだとー―。
「行ってみたいなー、其処に」
私は何気なく言った。
「ごめん。其処はもう無いんだ。ダムで沈んでしまったから」
心なしか、伯母の声が震えているように感じた。
祖父の……
私達の原点の村は、もう存在していなかったのだ。
平家の落人伝説の里が平家一門に所縁のある人達だと言うことは間違いはない。
でも直接血を引いているかどうかは定かではないようだ。
「確か何処かにビデオがあると思うのよ。その村の特集があった時のが……。今度見つけておくね」
伯母はそう言った。
「えっ!? 平家って、平清盛の?」
突然の伯母の話に、私はビックリ仰天した。
源平合戦で敗北した平家。
清盛の……子供の内の誰か隠し子だったらしい。
伯母の話だと、祖父が調べたとのことだった。
尤も、祖父はホラ吹きとしても有名だったらしい。
だからあてにはならないようだ。
でも祖父の産まれた田舎には、平家の落人伝説は色濃く残っているようだった。
祖父の故郷は凄い山の中だと聞いている。
だから逃げたのだ。
平家の血筋だったから逃げたのだ。
私はその話はまんざら嘘でもないと思った。
「世が世なら……」
「私達は平家のお姫様」
伯母はそう言って笑った。
「だから恵は、馬鹿にされることはないんだよ」
伯母はそう言いながら、体を背けた。
私は泣いているのだと思った。
その時感じた。
きっと伯母は母が父に虐げられている事実を知っているのだとー―。
「行ってみたいなー、其処に」
私は何気なく言った。
「ごめん。其処はもう無いんだ。ダムで沈んでしまったから」
心なしか、伯母の声が震えているように感じた。
祖父の……
私達の原点の村は、もう存在していなかったのだ。
平家の落人伝説の里が平家一門に所縁のある人達だと言うことは間違いはない。
でも直接血を引いているかどうかは定かではないようだ。
「確か何処かにビデオがあると思うのよ。その村の特集があった時のが……。今度見つけておくね」
伯母はそう言った。