アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 そんな競技の中で一際異彩を放つのが、私の出る仮装行列だった。


毎年毎年超人気なのは、三年生全員による宝塚の舞台再現。
らしい……


入ったばかりで詳しいことは知りましぇーん。


実はこれがやりたくて、女子校を受験する人もいる位なのだそうだ。


ま、確実に私は違いましたが。


でも学校の入学案内パンフレットには何時も掲載されていた。

清水さんはそれに憧れたから衣装部を選んだらしい。

だから力の入れ具合がハンパじゃなかった。




 私のクラスはオリンピックも近いことだし、世界の国の人々。
ダーバンにサリーのインドの人はカレー。


五輪に出場する国かどうかは二の次だった。


解らないといけないので、ダンボールに料理の絵を描いてそれぞれに持たせることにして……


チマチョゴリにキムチは韓国。

人民服に餃子の中国。


みんな、それぞれの衣装に身を包む。
此処ぞとばかりに、校則違反。

ダークなファンデーションを身にまとう。

近頃では全く見られなくなった、ガングロコギャル風インド人が出来上がった。


一番始めに行進するのは、今回のオリンピックの主宰国。



派手なカーニバル風サンバスタイル。
其処はそこ……勿論、運動着とブルマに重ね着スタイルで。

それでもブーツと羽飾りで雰囲気は出したけど。


その手荷物勿論ダンボール製だった。
二つ折りのダンボールの両面に絵を描き、持ち手をくり抜く。
なかなかどうしてカッコイいのが出来上がった。


でもどうしても料理が思いつかない。
仕方ないので、何もなし。
ってことになった。




< 72 / 179 >

この作品をシェア

pagetop