アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 全部の衣装が出来た後、チマチョゴリを作ることになった。

でも、何処にも売ってもいないし作れもしない。

第一、本物なんか見たこともない。


図書室で借りた、民族衣装の本を見ながら検討することになった。


その結果。
急遽で究極の作戦が、模造紙に絵を描いて体に巻き付ける方法に……


でも試しにダンボールに描いていて首から吊したら、それで良いと言うことに……


所謂サンドイッチ状態だった。
みんな相当疲れていて、それでオーケイと言うことになった。


これがあの……

秘密の衣装だった。




 クラスメートでただ二人。
このその場しのぎの、間に合わせ的な衣装を身に付けなくてはいけない。


ワイワイガヤガヤ、アミダクジによる抽選会。


その結果。
幸運にも?
私と、清水さんが着ることになった。




 ところが当日大変なことになっていた。


仮装行列は午後の一番目。
でも午前中に清水さんが足を痛めたようなのだ。


パン食い競争の時に水野先生に言葉を掛けたことが先輩達の逆鱗に触れ、やりこめられたらしい。


(傍に居なくて正解)

不謹慎にもそう思った。

そうは思ったが……
私の相手、ダンボール製チマチョゴリを着る人が居なくなってしまったのだ。




< 73 / 179 >

この作品をシェア

pagetop