アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
「本当は、二十歳以上じゃないかと思ったの。物凄く大人びていて、素敵だったから私はその人に夢中になったの」
その人と訪れた三峰神社。
その後……
別れていたのだった。
清い交際だった。
勿論男女関係も求められた。
でも結婚するまではと頑なに思っていた母だった。
「田舎者だから、それが当然だと思っていたの。でもお父さんと結婚した後で……」
母は急に黙ってしまった。
見ると涙が溢れていた。
「初めてだった。お父さんが新婚旅行先で、その印に気付いたの。私は『初めてだから』って言ったのよ。でもお父さんは言ったの。『こんなモンは、手術すれば男には解らなくてなるって聞いたぞ』って。目の前が真っ暗になるのが解ったの」
唖然とした。
父は……
結婚したその日から母を見下していたのだった。
「その後で言われたの。『もしこれで子供が出来たとしても、俺は絶対に認めないから良く覚えておけ』って」
酷い話だった。
本当に父は、愛情の欠片も持ち合わせていない非情な人だった。
母の辛さに身が詰まる。
二十四歳の母に二十歳だと言って近付いた人。
十八歳だと解って耐えられなくなった母は、別れてしまったのだった。
二十歳でも叔母より年下だったから、それよりも彼は二つも若かったのだ。
その後お見合いをして父側の仲人が強引に早急に結婚を決めた。
そのことで、何かあると勘ぐった父。
だから……
見下したのだ。
何の落ち度もない母を。
純情可憐な乙女だった母を……
その人と訪れた三峰神社。
その後……
別れていたのだった。
清い交際だった。
勿論男女関係も求められた。
でも結婚するまではと頑なに思っていた母だった。
「田舎者だから、それが当然だと思っていたの。でもお父さんと結婚した後で……」
母は急に黙ってしまった。
見ると涙が溢れていた。
「初めてだった。お父さんが新婚旅行先で、その印に気付いたの。私は『初めてだから』って言ったのよ。でもお父さんは言ったの。『こんなモンは、手術すれば男には解らなくてなるって聞いたぞ』って。目の前が真っ暗になるのが解ったの」
唖然とした。
父は……
結婚したその日から母を見下していたのだった。
「その後で言われたの。『もしこれで子供が出来たとしても、俺は絶対に認めないから良く覚えておけ』って」
酷い話だった。
本当に父は、愛情の欠片も持ち合わせていない非情な人だった。
母の辛さに身が詰まる。
二十四歳の母に二十歳だと言って近付いた人。
十八歳だと解って耐えられなくなった母は、別れてしまったのだった。
二十歳でも叔母より年下だったから、それよりも彼は二つも若かったのだ。
その後お見合いをして父側の仲人が強引に早急に結婚を決めた。
そのことで、何かあると勘ぐった父。
だから……
見下したのだ。
何の落ち度もない母を。
純情可憐な乙女だった母を……