アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
僕に対する、催眠療法が行われてようとしていた。
「ゆっくり息をして、これを見て……」
目の前の動く物を見ていたら、何だか気持ち良くなってきた。
僕は自然に……
深い記憶の中にいた。
最初に思い浮かべたのは、教会だった。
どうやら僕は、物心が付い頃から清水さんと一緒だったようだ。
(どんなに辛くても、悲しくても前に向かって歩いていくよ。貴女との約束だから……)
それは協会の祭壇の前で二人で誓った言葉。
僕はあの日の清水さんの横顔を思い浮かべていた。
苦しい……
息が苦しい……
でも突然呼吸困難に襲われた。
僕は必死にもがいて、やっと普段通りの呼吸を回復する。
あの夢をもう何度見ただろう。
時々前後が逆転はするけど、あの石の夢を見る前は必ずこれだった。
彼処は何処?
どうしてあんなに息が出来ないの?
俺は催眠療法の中で又あの夢を見ていた。
でもそれはあのリンチと、おばさんの撮ったと言う映像の話で判明した。
僕は川の中で頭を押し付けられて、母に殺されかけていたのだ。
ふと目を覚ます。
此処が何処なのか一瞬解らなかった。
(あっ、此処は医療少年院か? でも今の治療で一体何が判るのだろう?)
僕は不安を抱えて震えていた。
僕は十六歳未満の犯罪者だった。
だから少年刑務所ではなく彼処に入れられて、少年院収容受刑者と言われていた。
そのことが喧嘩っぱやい入所者の興味を引いたようだ。
ネンショ始まって以来の問題児は、面会に来てくれる両親が救いだったようだ。
二親を殺したとされる僕を悪人だと思い込んだのかも知れない。
でも、今更そんなことを聞かされても許せるはずはない。
死に直面させられた恐怖は一生消えることなんてないんだ。
僕はそう思っていた。
「ゆっくり息をして、これを見て……」
目の前の動く物を見ていたら、何だか気持ち良くなってきた。
僕は自然に……
深い記憶の中にいた。
最初に思い浮かべたのは、教会だった。
どうやら僕は、物心が付い頃から清水さんと一緒だったようだ。
(どんなに辛くても、悲しくても前に向かって歩いていくよ。貴女との約束だから……)
それは協会の祭壇の前で二人で誓った言葉。
僕はあの日の清水さんの横顔を思い浮かべていた。
苦しい……
息が苦しい……
でも突然呼吸困難に襲われた。
僕は必死にもがいて、やっと普段通りの呼吸を回復する。
あの夢をもう何度見ただろう。
時々前後が逆転はするけど、あの石の夢を見る前は必ずこれだった。
彼処は何処?
どうしてあんなに息が出来ないの?
俺は催眠療法の中で又あの夢を見ていた。
でもそれはあのリンチと、おばさんの撮ったと言う映像の話で判明した。
僕は川の中で頭を押し付けられて、母に殺されかけていたのだ。
ふと目を覚ます。
此処が何処なのか一瞬解らなかった。
(あっ、此処は医療少年院か? でも今の治療で一体何が判るのだろう?)
僕は不安を抱えて震えていた。
僕は十六歳未満の犯罪者だった。
だから少年刑務所ではなく彼処に入れられて、少年院収容受刑者と言われていた。
そのことが喧嘩っぱやい入所者の興味を引いたようだ。
ネンショ始まって以来の問題児は、面会に来てくれる両親が救いだったようだ。
二親を殺したとされる僕を悪人だと思い込んだのかも知れない。
でも、今更そんなことを聞かされても許せるはずはない。
死に直面させられた恐怖は一生消えることなんてないんだ。
僕はそう思っていた。