ビター・スウィート
そしてやってきた資料室で、俺と永井は阿形の言うファイルを探すべく、棚やしまってある段ボールの中をガサガサと漁っていた。
「見つからねーな……つーか誰だよ、段ボールになんでもかんでも資料室突っ込んだの」
「あ、多分内海さんの課の人たちだと思います。この前他の資料探すのにひっくり返してましたから」
「あいつら……あとで絶対整理させる!!」
段ボールをドカッと一つ床に置けば、永井は俺の向かいで、脚立に乗り背伸びをしながら棚の上を探している。
高い位置にいるその足元は、制服である紺色のスカートが際どい位置でチラチラと揺れる。
あれは……さすがに、ちょっと。
「おい永井」
「へ?なんですか?」
「高い所は俺が探す。お前はこっちを探せ」
唐突に言い出した俺に、永井は意味がわからなそうに首を傾げる。
「大丈夫ですよ?」
「大丈夫じゃない。いいからさっさとしろ!」
「は、はいっ!」
強く言うと慌てて降りる永井に、代わるように俺はその脚立に乗る。
女相手に『パンツ見えそう』とは、さすがの俺だって言えない。けどもう少し優しくも言えないものかと、また自分の言い方に頭を抱えてしまう。