ビター・スウィート
「これ、甘いカフェオレ……」
「あ?甘いの好きだろ?広瀬が言ってた」
俺から飲み物を渡されること自体が珍しいのか、両手で缶を包み持ちながら少し驚き、途端にその顔はぱぁっと明るくなる。
「ありがとう、ございます」
嬉しそうな、華やかな笑顔。その笑顔が、どんな表情よりも嬉しい。
「内海さんって、人の好きなものとか覚えられるんですね!」
「……よし、お前今夜は終電まで残業な」
「う、嘘です!冗談です!!」
失恋の傷を癒やすためだろうが、なんでもいい。君が今日も、笑ってくれるのなら。
それだけで、いい。