ビター・スウィート
女の子と、二人……。しかも内海さんは、にこにこと優しい笑顔を見せている。
って、笑顔!?あの内海さんが!?笑顔!!?
見間違いだろうか、よく似た人だろうか。そう目を凝らしてよく見てみるものの、やはり内海さんだ。間違いない。
若い女の子ってことは、取引先とか仕事関係ではないよね。それ以外で内海さんが笑顔を見せる相手……となれば。
彼女、?
呆然と見る私に気付くことなく、内海さんは女の子と仲良さげに話しながらタクシーを停めると、二人で乗り込みその場をあとにした。
バタン、ブロロロ……と遠ざかるタクシーに、私だけがその場から動けずにいる。
なに、今の。
昼間私には笑顔のひとつも見せやしなかったくせに……若い子には笑顔!?しかも親密そうだったし……。
彼女?若くて可愛かった。内海さんはああいう清楚な感じの子が好きなんだ。
……確かに、よく似合っていたなぁ。二人の姿を思い出し、胸の奥がチク、と痛む。
って、なんで!なんで私が気にしてるわけ!?
別に内海さんに彼女がいようが、可愛い子が好みだろうが、どうでもいいし!うん。
私には、関係ないもん。そうだよ、関係ない。
「……関係、ないのに」
どうして、だろう。悲しい気持ちになってしまうのは。