ビター・スウィート
そして会社を出た私と内海さんは、二人で肩を並べ駅までの道のりを歩いていた。
夜道を照らすビルの明かりに包まれ、スタスタと進む足についていくように少し早足で歩きながら隣を見上げる。
背、大きいなぁ。でもその身長の大きさが余計に威圧感を感じさせるんだよね。
スッと通った鼻筋と、薄い唇。綺麗な横顔だと思う。黙っていれば格好良い、つくづくそれを感じる見た目だ。
「で?何がどうなって俺が広瀬に恋してるって?」
「え!?」
見つめていたところに突然こちらを向いた目と、切り出された話題。それに驚きギクッとする私に、彼は足を止めることなく歩き続ける。
「あ、あー……あれは、その……忘れてください」
「質問の答えになってねーぞ」
「うっ……」
掘り返されたくなくて気まずく目をそらすものの、彼は逃がすわけもなくこちらを睨み続けた。
「えーと……内海さんが広瀬先輩を好きだから、私に諦めろとか言うのかなとか思いまして……」
「はぁ?何だそれ。俺は率直な意見を述べただけだっての」
「率直って!ひどい!」
「向こうに少しでも気持ちがあるなら、何年も近くにいて何も起こらないわけがない」
「ぐっ!」
それはそう、だけどさ……。
やはり容赦なくグサグサと刺さる言葉に、私は言い返せない。