ビター・スウィート
「その子がどんな気持ちで考えて、悩んで、どれだけ勇気を出して告白したと思ってるの!?それをそんな言い方してっ……本当バカ!大バカ!!」
「なっ……お前になにがわかるんだよ!!」
「分かるよ!!好きな人に『好き』って伝えることに、勇気が必要なことくらい……」
好きな人に、好きだと伝える勇気。きっとそれは、誰だって同じ。
あの時永井も、顔を真っ赤にして、震えた声をしていた。
「俺だって、そう思いたくなんてねーよ」
「じゃあどうしてよ」
「……別に、お前には関係ねーだろ」
素直に言えるわけもなく、そっけなく言って話を終わらせようとする俺に、花音は「ふーん……」とまた靴を脱ぎ手にとる。
「もう一発、いっとく?今度はヒールの部分で」
「穴空く!頭に穴あくだろそれ!!」
『つべこべ言わずに話せ』ってか!!
殺意すら感じるそのハイヒールに、ぞっとして諦めたように溜息をついた。