ビター・スウィート



「あいつに妹がいるって知ってるか?」

「え?あ、はい。聞いたことあります。確か私の一つ下、ですよね」

「あぁ。あいつその妹のこと超可愛がってて、子供自体好きなんだと。だからお前のことも可愛がるんだろうよ」

「へー……」



妹さんがいるのは知っていたけど、可愛がっているのは知らなかった……。

初めて聞く内容に頷く私に、彼はビシッと指をさす。



「つまり、そこを踏まえて考えてもやっぱりお前に可能性はないわけだ。想うだけ無駄。諦めろ」

「なっ……」



『可能性はない』

『想うだけ無駄。諦めろ』



ストレートな言葉たちが、心に深く刺さる。

確かに反論は出来ない。……けどそんな、何度も言わなくたっていいじゃんか。最低、悪魔。

やっぱり嫌い。大嫌い。



「永井?」



突然足を止めた私に、どうしたものかと内海さんも続くように足を止めた。

すると、私の目からボロボロとこぼれだしたのは大粒の涙。



「なっ!?何泣いてるんだよ!」

「だって、そんな何回もはっきり言うから……そこまで言わなくてもいいじゃないですかー!」

「なっ、ばっ、騒ぐなおい!」



腹の立つ気持ちと否定できない悔しさ、それらは涙となって溢れ出す。

うわああんと子供のように泣きじゃくる私に、何事かとこちらを見る通行人たち。これにはさすがの内海さんもわたわたと慌てた。


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