ビター・スウィート



「わぁ……!素敵!素敵ー!!」

「ありがと、ちーに言ってもらえると安心する」

「本当に素敵です!ここで結婚式……すごーいっ!」



テラスへ出て外を見渡すと、少し離れた先にはマンションやビルが並んでいるのが見える。

興奮気味にそれらを見る私に、広瀬先輩も続いて外へ出てくる。



「なんか、ちーと会うの久しぶりかも」

「最近私毎日開発チームのほうにいましたから」

「じゃあ内海とも話してないんじゃない?」

「あ……そう、です、ね」



『内海』、その名前に思わずぎこちない返事をしてしまう。その私の反応を広瀬先輩は見逃すことなかった。



「内海と、なにかあった?」

「え!?えーと、なにかというか……あれ!?ていうか、なんで内海さんとのこと!?」

「え?だってちーは内海のことが好きなんじゃないの?」



ば、ばれてる……!!

広瀬先輩、自分のときは全く気付かなかったくせに、どうして内海さんのことになるとわかるの!?



きょとん、と問いかける彼に、私はもう否定する気力もなく、染まる頬を両手で抑えた。



「……気持ちを伝えたことは伝えたんですが、ふられたといいますか、拒まれたといいますか」

「へ?」

「『広瀬の代わりにはなれない』って、言われちゃいました」



内海さんとのことを思い出しながら、少し沈んだ超えで言うと、広瀬先輩は困ったように笑って頬をかく。


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