ビター・スウィート
「ひっ広瀬先輩!どうしたんですか?」
「仕事終わりで疲れてるところごめんね。いきなりなんだけどさ、日曜日って空いてる?」
「え?空いてますけど……」
「本当?よかった、じゃあその日一日付き合ってくれないかな」
「えっ!?」
つ、付き合う!?一日!?私が広瀬先輩に!?
「大事な買い物なんだけど、ちょっと一人じゃ決められそうにないからさ。いいかな」
「はっはい、もちろん!全然大丈夫です!」
「そう?ありがとう。じゃあ時間や待ち合わせは後でまたメールするから」
広瀬先輩は安心したように見せた笑顔で約束を取り付けると、じゃあまたとその場を後にした。
広瀬先輩と、一日、買い物……。
「な、菜穂ちゃん、これって……」
「俗に言う、デートってやつですよねぇ〜」
デート、デート?デート……
広瀬先輩と、デート!!
「っ〜……やったぁー!菜穂ちゃん明日の昼間服買いに行くの付き合ってー!」
「え〜?じゃあゴハンおごってくださぁい」
「おごるおごる!」
思わぬ彼からの誘いに、仕事の疲れも吹っ飛んでしまう。
広瀬先輩と、デート。どんな服にしよう、どんなメイクにして、どんな髪型で行こう。
考えてもきりがない、けれどその迷いすら嬉しい自分がいた。