ビター・スウィート



「え?あ、あの……どうして内海さんが?」

「内海も暇だっていうからさ、じゃあ折角だし一緒にって。言ってなかったっけ?」

「広瀬、どうせお前のことだからまた言い忘れてたんだろ」



つまり今日は二人きりのデートではなく、内海さんも含めての三人での買い物、というわけ……。

……そ、そんな……!



一気に押し寄せるがっかりとする気持ちに、ついその場に膝をつきそうにもなってしまう。



「じゃあ、行こうか」

「はい……」



けれどその優しい笑顔を向けられると何も言えない自分がいて、こちらの気持ちや期待に全く気付かないその鈍感さすらも良いと思えてしまう。

そして私たちは三人で、駅前のショッピングセンターへと歩き出した。



「で?妹の誕生日プレゼントだっけか?」

「うん。去年はくまのぬいぐるみで怒られたから、今年は犬のぬいぐるみにしようかと思ってたんだけど……」

「変わらねーだろ。俺が妹だったら絶対いらねぇ」



歩きながらもちゃっかりと、広瀬先輩の隣を歩く内海さん。そんな二人の一歩後ろを私は必死についていく。

そもそも私が来ることを分かっていたなら、遠慮とかしてくれればいいのに!悪魔!

あ、ならいっそ内海さんはいないものとして過ごせばいいんだ。そう、折角気合いれた格好してきたんだもん。

短い丈のスカートに、高めのヒールで女として意識してもらうんだから!



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