ビター・スウィート
「……おい、永井コラ……」
「はっはい!何でしょうか!」
名前を呼ぶ低い声にビクッとする私に、その人はツカツカと近付き机に書類をバシッ!と叩きつけた。
見ればそれは、今朝私が提出した用紙5枚にも及ぶ商品の使用感をレポートした報告書。
「っ……何だこの報告書は!!毎回毎回ありきたりな言葉適当に並べやがって、仕事ナメてんのか!!あぁ!?」
「い、いえ決してそういうわけでは……」
「それと新商品のPOP!あれも手抜いてデザインしただろ!丸分かりなんだよこの下手くそ!!」
「へっ下手くそ!?」
溜め込んだ怒りを一気にぶつけるように怒鳴り罵る彼に、ダメージを受ける私。そんな二人の間に広瀬先輩は宥めるように入り込む。
「まぁまぁ、内海。ちーも頑張ってるんだしそこまで言わなくても」
「頑張ってる?それは仕事に対して本気でやってる奴に使う言葉だ。期日に追われて適当に片付ける奴に使っていい言葉じゃねぇ!!」
た、確かに締め切りに追われて大急ぎで仕上げましたけど……。
広瀬先輩に宥められようとも落ち着かない彼は、相変わらず丁寧とは言えない言葉を容赦無く浴びせ、キッとこちらを睨み続ける。