ビター・スウィート
「ってあれ?何で通話切れて……」
見れば私の携帯の画面は『充電してください』の文字を表示したかと思えば、真っ暗になる。
つまり、充電切れ……。
そういえば今朝充電ないってやってたっけ……。ということは、内海さんとの唯一の連絡手段すらも失ってしまったわけだ。
「あーもう!最悪!私のバカー!!」
充電器を忘れる、充電が切れる、そもそも迷子になる。全て自分の不注意から起きたことに、頭を抱え看板の下でしゃがみ込む。
手のひらを見れば、ボロボロになったブレスレットが太陽に照らされ小さく光る。
あぁもう、本当私のバカ。
ブレスレット拾って迷子になった、なんて……絶対内海さん、怒ってるよね。呆れてるかな。
折角少しは頼りにしてもらえたと思ったのに、やっぱりダメな奴だって思われたかもしれない。
私、ダメだな。情けない。
こみ上げる不安と落ち込む気持ちに、泣き出しそうになってしまう。
泣きそうな理由は、孤独と不安。それ以上に、彼に呆れられたかもしれないというショック。
「っ……、……井……、永井!!」
「え……?」
その時、聞こえてきたのは名前を呼ぶ大きな声。
俯いていた顔を上げると、目の前の人混みをかき分け姿を表した彼……内海さんがいた。