ビター・スウィート
「っいた……、よかった……あー、苦し……」
「内海さん……なんで、」
「電話中にいきなり切れたから絶対充電切れだと思ってな……ったく、充電くらいちゃんとしておけ」
ゼーゼーと息をあげ、額に汗をかくその姿。電話が切れてから、看板を探しながら必死に走って探してくれたのだろう。
「急いで、探してくれたんですか……?」
「……あぁ」
「どうして、なんで……」
「……変に臆病なところがあるお前だから、見ず知らずの土地で一人になればきっと不安で、またガキみたいに泣いてるだろうと思って」
彼は息を整えながら呟くと、しゃがみ込む私に合わせるように体を屈め、潤む私の瞳を覗き込む。そしてそっと頬に添えられる手。
私が泣いていると思って、探しにきてくれた?
苦しそうに、息をあげて、汗をかいて。
「っ……内海さんん〜……」
その気持ちが嬉しく、余計にこみ上げるダメな自分への悔しさに、ボロボロと涙が溢れてしまう。
「って何で余計泣くんだよ」
「ごめんなさい、迷惑かけて……本当に、ごめんなさいい〜……」
子供のようにわんわん泣き出す私に、内海さんはまた少し困った顔をして両手で私の顔を包むように持つ。