ビター・スウィート
知り合いなのかな?親しげだし…友達?
「花音に裕。お前らは仕事帰りにデートか?」
『花音』
花音……カノン、ってこの人が?
突然現れた『カノンさん』に、私は驚きを隠しながら内海さんたちの会話を聞く。
「同窓会のお知らせ来たでしょ?行く?」
「さぁな。気が向いたら」
「えー?凌そう言って前回も来なかったじゃん!」
「どうせ独身なんだから暇だろー?」
「うるせーな」
その女性……花音さんは『裕』と呼ばれた隣の男性と笑うと、不意にこちらに目を向けた。
「あれー?その子、彼女?」
「えっ!?」
わ、私!?
うふふと笑う彼女に、私は赤くなった頬で慌てて否定しようと両手を振る。
「ちっ違います!私は内海さんの会社の者でしてっ……」
「照れない照れない。相合傘なんて可愛いねー」
「花音、からかうな。永井もいちいち反応すんな」
「す、すみません……」
「えー?凌、つまんなーい」
大人の落ち着きもありながら、口を尖らせる姿はまるで子供のようで、同性の私から見ても可愛らしい人だと思う。
そんな花音さんを、隣の彼も優しく見守っている。