専務が私を追ってくる!



病院から家に戻ったのは、夜の9時頃だった。

まず猫を部屋に入れ、それから大量に買い込んだ猫グッズを車から家の中へと運び込む。

ケージやキャリーケース、猫用ベッドなど、大きなものをまとめて購入したため、雨なのに重労働だ。

子猫を診てくれた獣医は、社長と同年代の男性だった。

「生後一週間から10日ってとこだね。2匹とも女の子。少し弱ってるけど、ミルクも飲めたし、ちゃんと世話をすればすぐに元気になりますよ」

そう告げられたときは、安心して思わず修と抱き合ってしまった。

その後、獣医からの説得もあって、戸建て住まいの私がこの2匹を引き取ることになった。

「ぴーぴー、ぴー」

「鳴いた! 猫が起きましたよ、専務!」

「マジで?」

1匹が目覚め鳴き始めると、もう1匹も鳴き始める。

まだ猫らしくニャーとは泣けないらしい。

薄目を開け、小さな足をバタバタさせて、タオルの上で必死に何かを訴えている。

「ぴー」

撫でようと指を差し出すと、小さな前足でぽにょっとタッチ。

「ぴーぴー」

猛烈に可愛い。

修もメロメロだ。

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