専務が私を追ってくる!
修は私の顔を見て、満足そうな顔をして笑った。
「ははは。意地悪半分なのは認めるよ。こいつらめちゃくちゃ可愛いから、俺の好きな子の名前を付けたかったの」
その好きな子は“美穂”ではないんですね。
別に期待してたわけじゃないですけど。
「ミキとミカ。私の猫って感じだし、いいですよ」
下手に外国っぽい名前をつけるより家族としての一体感があって、私の好みにも合っている。
「俺の猫でもあるけどね」
修が得意気な顔を浮かべ、自分が拾ったのだと主張。
「ちょっ……私が飼うんですけど!」
「しーっ。猫が起きるだろ」
「専務のせいです」
修の楽しそうな顔を見て、ハッとした。
専務と秘書の距離感を保とうと決めていたのに、子猫たちに夢中になって当たり前のように距離を縮めてしまっていた。
修もそれに気づき、互いにいったん黙る。
一息おいて、先に言葉を発したのは彼の方だった。
「あれから、色々謎が解けていったよ」
あれとは、もちろん東京でのことである。