専務が私を追ってくる!
耳を疑った。
「は?」
すむって聞こえたけれど、この人は一体何を言っているの?
すむって、済むでも澄むでもなく、住むってこと?
私と、二人で?
「ミキとミカが自立するまで、一緒に育てたいんだ。ダメ?」
「いいわけないでしょう。何言ってるんですか」
男と女なんですよ、私たち。
ただでさえ間違いは起こっているのに。
「お願い、郡山さん」
かわいい顔で頼まれたって……。
「ダメです」
「だって俺、絶対毎晩ここに来て朝までいるよ? だったらここで生活する方が効率いいし」
それはおっしゃる通りだけれども。
毎晩来るだろうことも、今の溺愛具合を見ればリアルに想像できるけれども。
「そんな、半同棲みたいなこと……」
口に出して、後悔した。
せめて半同居と言えばよかった。
同棲だなんて恋愛を含むワードを使ったことによって、私が彼との色っぽいハプニングを意識していることがバレてしまった。
「ぴーぴー」
猫の鳴き声が聞こえて、私たちは条件反射的に彼女たちのもとへ走る。
私はミカを、修はミキを手に包む。
「ぴーぴーぴー」
猫たちは私たちの手の中で楽しそうに暴れた。
「お前たち、ほんとに元気になったなー。よかったよかった」
「ぴー」