専務が私を追ってくる!
嬉しそうに笑う修。
仕事中は見せないデレデレした顔に、つい胸がときめいてしまう。
だからダメなのだ。
修はミキとミカの両方を手に抱え、私の方に向けた。
そしてミカの前足をピクピク動かしながら、トドメを刺す。
「お願い」
「ぴー」
ああ、やっぱりこの人には敵わないのかもしれない。
女々しいくせに、こうと決めると強引で図々しい。
完全に拒否できない私の弱い部分をぐりぐり突いてくるのだ。
ズルい。
「……わかりましたよ。夜中の世話がいらなくなるまでですからね!」
「うんうん、わかってる。やったねーミキミカ。毎日一緒だよー」
「ぴーぴー」
「ぴー、はむっ」
「おっ、やったなーミカ。でもまだ歯がないな。あはは」
私の静かな生活が、どんどん修によって壊されていくような気がする。
それを恐れる一方で、寂しい気持ちが薄れていくのを否定できない。
自分のためにも、これ以上修を好きになりたくない。
だから、一緒に暮らすことによって見える彼の悪い部分に失望することを、密かに期待した。