専務が私を追ってくる!
しかし、実際に飼ってみて初めてわかった。
目の前の命が救われた奇跡。
今日一日元気でいてくれるありがたさ。
その喜びは何にも変えられない。
この子たちのためなら、モテなくたって構わないし、女としての価値が下がったって構わない。
私の場合、恋愛禁止の今だからそう思えるだけなのかもしれない。
けれど命を預かったことで、精神的に大きく成長したのは確かだと思う。
しかし、生き物を飼うというのは、可愛いだけでは済まないことの方が多い。
「ぴゃー! はむっ」
「噛んでもダメ。キャー! またおしっこひっかけた!」
ミルクを与えるのは簡単だが、排泄の処理は本当に大変。
特に子猫は、出すタイミングなどおかまい無しなのだ。
悪戦苦闘していると、洗面所で髭を剃っていた修が戻ってきた。
「続きは俺がやるから、弁当作りなよ」
さも当たり前のようにこちらへ歩いて来ているが、上半身は首にタオルを掛けている以外何も身に付けていない。