専務が私を追ってくる!
「郡山さん、俺のことどう思ってんの?」
いつかまた尋ねられると、覚悟はしていた。
だから、ずっとベストな答えを探していた。
上司と部下という関係を保ちつつ、気まずくならない、だけど少しお互いを特別に感じられる、私にとって最も都合の良い答えを。
だけど、現時点でそんな答えは見つかっていない。
おそらくないのだと思う。
だけど今日はもう「秘密」という言葉で逃れることもできなさそうだ。
私たちが『あえて避けていた』のは、互いの気持ちをハッキリさせることによって、『完全に上司と部下の関係になる』か『恋人になる』かを決めることに他ならない。
私は自分に恋愛を禁止しているため、必然的に前者を選択することになる。
でも……私の気持ちは。
答えられないでいると、修はふっと息を漏らして体勢を整えた。
「ごめん。卑怯な聞き方だった。言葉を足すよ。俺は、今までのことも全部含めて、郡山さんのことが好きなんだけど。郡山さんは、俺のことどう思ってる?」
修は『恋人になる』方を望んでいる。
こんな私を好きだと言ってくれる。
心に深く刻んだはずの三原則が揺らぎ始めた。