専務が私を追ってくる!
「私、専務が思っているような女じゃないんです」
「どういうこと?」
正体を明かした時以上の緊張で、声が震える。
私はこれから、好きな人に嫌われるかもしれない。
だけど彼が私を誤解したまま好きだと思っているよりはずっといいはずだ。
「自分で言うのも虚しいんですけど、すっごく性格悪いんです」
「俺はそう感じたことないけど」
「ここに来てからは、そういう部分を必死で抑えてきましたから」
話すのは怖い。
幻滅されたくない。
でも、嘘をつくのもダメだ。
ここで嫌われることから逃げたら、東京にいた頃の自分と変わらない。
自分の保身のために嘘をつく女から卒業できない。
私は今までにたくさんの人を傷つけてきた。
今が報いを受ける時だ。
涙を堪えながら喋ると声が震える。
それでもゆっくりと、修に全てを話した。
以前の私の考え方や行動。
醜さに気付いてここへやって来た経緯。
オシャレと外食と恋愛を禁止している理由。
修と出会った日の私はどういうつもりだったか。
そして会社で再会した時に何を思ったか。