専務が私を追ってくる!
私の話は飛んだり戻ったりしてめちゃくちゃだった。
顔を見るのが怖くて、顔はずっとテレビの方を向いていた。
修は「うん」「そっか」「それで?」などと相づちを打ちながら、ちゃんと全部聞いてくれた。
もう隠し事など何もない。
醜い私を受け入れてくれなかったとしても、それなりの覚悟はできている。
「専務、呆れたでしょ」
自嘲を含んで呟く。
すると修は真顔で「いやいや」と横に首を振った。
「逆だよ。尊敬した」
「は?」
驚いて彼の方を見る。
高慢で嘘つきで見栄っ張りな私のどこが尊敬に値するというのか。
まるで意味がわからない。
笑いが力なく抜けていった。
修は渋い顔をしている。
「なんていうかさ、誰にだってあるよ。ズルいことしたり、見栄を張ったり、威張りたくなったり。俺だってそうだし」
「私は、度が過ぎています」
「でもそれに気付いて、直すためにこうして動いたんだよな。知らない土地に引っ越したり、転職したり。普通、そこまでできないよ。かなりすごいと思う」