専務が私を追ってくる!
翌日、朝。
母はこの日のためにデパートで新調したと見られる真新しいワンピースに身を包み、いつも以上にコンシーラーを駆使したバッチリメイクを施した。
胸元には大粒真珠のネックレス、耳にはネックレスとお揃いのイヤリング。
指にはダイヤモンドの指輪を重ね付け。
ネイルも昨年まで私が通っていたサロンでジェルを施してもらっているようだ。
仕上げに私の香水までふりかける。
「イイ年して気合い入れ過ぎじゃない?」
「ホテルでやるんですもの。これくらい普通よ」
「あ、そう……」
髪のセットはプロにお任せするらしい。
気合いの入り方がスゴすぎる。
私は車で予約していた美容院まで送り届ける役を仰せつかり、無事に遂行。
「それじゃ、行ってくるわね。夜までには帰るから」
母は楽しそうに助手席を降りていった。
「行ってらっしゃい。社長と奥様によろしく」
「雨宮くんと久美子ちゃんね。わかってるわよ」
母は楽しそうに出掛けていった。
とりあえず今のところ修と暮らしてることもバレてないし、大丈夫。
順調、順調。
同窓会から帰ってきたら、修を紹介する話をしよう。