専務が私を追ってくる!

甲高い声で猫に話しかけていた母が、急に低い声を出すので、気になってミルク片手に猫部屋へ。

「どうしたの?」

母はミキを抱いている。

「この子、何だか元気ないんじゃない?」

「え?」

母が指を指したのはミカの方だ。

いつもならケージを開けると元気よく飛び出してくるのに、丸くなってうとうとしているように見える。

「あれ、眠いのかな?」

ケージから出して、哺乳瓶の吸い口を口に当ててみる。

少し飲んで、すぐにイヤイヤとジタバタする。

でも、ジタバタもいつもの勢いがない。

「お腹空いてなかったかな?」

ミカをいったんケージに戻し、ミルクを母に渡した。

ミキは美味しそうにミルクを飲んでいる。

今まで食欲にばらつきなんてなかったのに。

子猫によって成長の仕方が違うから、個性が出てきたのだろうか。

悠長にそう考えていると。

「えっ……ちょっと、ミカ?」

ミカが、プルプルと震えていた。

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