専務が私を追ってくる!

寒いのかな。

だけど体は濡れていないし、今は夏だ。

私はエアコンの効いているとなりの部屋から冷気が流れてくるのを防ぐため、間仕切り扉を閉めた。

「美穂!」

母が切羽詰まった声を出す。

何事かと思ってケージに視線を戻すと、ミカがケージの中で、さっき飲んだミルクを吐いていた。

「ミカ?」

「みゃーん、みゃーん」

助けを求めるような声と目。

修が拾ってきたときのことを思い出す。

私は急いでタオルとティッシュとペットシーツを準備して、ミカを再びケージから出し、吐いたものを拭き取る。

ケージの中のペットシーツを見ると、ミカは吐いただけではなく、下痢もしていた。

ミカが死んじゃうかもしれない——……!

そう思うと、頭の中が真っ白になった。

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