専務が私を追ってくる!

「お母さん、行っちゃったな」

「うん」

寂しそうに呟いた修。

話し足りなかったのだろうか。

一緒に住むことを認めてもらえるのであれば、はじめから彼を追い出したりしなければよかったかもしれない。

だけど、焦る必要はないよね。

私と修の関係だって、始まったばかりなんだから。

「いい天気だし、今日の美穂は可愛いし、どっか出掛けるか」

修が空港の高い天井に向かって、グーッと伸びをした。

着ているポロシャツの裾から腰周りがちらり。

「行きたいとこ、あるの?」

「とりあえずミカが心配だし、家帰って猫にミルク。それからペットショップかな」

「うん!」

仕事して、猫と遊んで、休みの日はまったりと過ごす。

華やかではないしオシャレでもないけれど、確かな幸せを感じる愛おしい毎日。

こんな修との穏やかな日々がずっと続きますように。




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