専務が私を追ってくる!
「ま、今さらビビっても仕方ないし、潰れないよう一生懸命働くよ」
「はい。よろしくお願いします」
部屋作りは、デスクが届いてからが特に大変だった。
二つのデスクを二人で動かしながら、ああでもないこうでもないと配置で悩んだ。
やっと配置が決まり、テレビやパソコンが届き、電話やネットの線をつないでもらった頃には、もう定時を過ぎてしまっていた。
そのタイミングで、出先から戻ってきた社長が覗きに来た。
「おお、いいじゃないの! 若専務って感じだな」
「親父!」
心底迷惑そうに顔をしかめる修。
社長はニヤニヤしている。
父と息子という感じがする。
「仕事中は社長と呼べ」
「……社長」
社長は一通り部屋を見回して、最後に新しくなった扉を閉めた。
カチャン、としっかり施錠までして、私と修の前に立つ。
父ではなく、社長の顔をして。
「敢えて今伝えておくが、お前の専務就任を良く思っていない社員や株主が、少なからず、いる」
さっき階段のところで聞いた会話が頭をよぎる。
修はそれを承知していると言わんばかりに黙ったままだ。
「まずはそういう奴らを黙らせるだけの業績を上げろ。それがお前の使命だ」