専務が私を追ってくる!
奥様が修を守るために、無理に進めてきた縁談。
今日の会食は正式に婚約を結ぶためのものだったが、修の意志で破談。
後ろ盾を失った修は専務として非常に不利な状況に立たされており、来週の臨時株主総会で解任を要求される可能性が高い。
「美穂ちゃんに心配をかける事態が続いてすまなかったね。だけど、修と付き合うということは、そういうことなんだ」
「ええ、今回のことでよくわかりました」
「これからまた、状況が厳しくなる」
「そうですね」
「修と一緒に戦う覚悟はある?」
敵は手強い。後ろ盾もない。
二度と這い上がれないくらいボロボロに負かされるかもしれない。
それでも、彼と共に立ち向かえるか。
「はい」
私が答えると、電話越しに社長がふふっと笑った音が聞こえた。
「よかった。修を頼むよ」
「はい!」
電話を切って、グッと歯を食いしばった。
強くなろう。
もっともっと強くなろう。
私を選んでくれた修のために。