専務が私を追ってくる!
修はしっかりと社長を見据える。
「了解!」
短い返事を頼りなく思ったのか、社長は苦い顔で笑った。
「とりあえず、バカ息子がどれだけやれるか、お手並み拝見だな」
そう言い残し、鍵を開けて部屋を出て行った。
「さーて。部屋が完成したし、明日の仕事の準備でもするかなー」
修がジャージ姿で椅子に座る。
背もたれにググッと背中を預けると、バネが利いた音がする。
私は昨日のうちに園枝さんからもらっていた暫定スケジュールの表を開く。
「明日は10時より新入社員の入社式に出席していただきます。挨拶は社長がやりますので、壇上で紹介を受けてお辞儀をするだけで結構です。それ以降は特に予定はありませんが、挨拶回りをされるなら土産品の準備がありますので事前に指示を……あの、どうされました?」
顔を上げると、修は驚いたような顔をして私を見つめていた。
まさか、バレた?
また頭がヒヤリとした。
今日はずっとこうだ。
これからも続くのだろうか。
「今初めて、郡山さんが秘書っぽく見えた」
「そうですか」
平和で穏やかな新生活は、早くも危機に瀕している。