専務が私を追ってくる!

しばらくそうしていると、ノートを書く手を止めた修が、何気なく尋ねてきた。

「うちも含めて4つ回ってきたけど、郡山さんはどう分析する?」

「やっぱり集客力があるのは、鉄道会社の駅ビルでした。テナントの知名度と価格帯のバランスが良い。このデパートは高級店ばかりでセレブ感が強いし、うちはこの二つと比べると、少し安っぽいですからね」

「なるほど、確かにね」

「でも、そこが強みでもあります。ファミリーはうちに来ますから、客層は厚いです」

私は素直に見て思ったことを言った。

でもこんなの、この地域に住んでいる人であれば誰だってわかっていることだ。

私なんかにチープな分析をさせて、何か意味があるのだろうか。

「郡山さんって、いつもどこで買い物するの?」

「最近はもっぱらウォークシティです」

売り上げに貢献っていうのもあるけれど、何でも揃っていて便利だし。

「じゃあ、利用者として、ウォークシティにどんな店を入れたらいいと思う?」

「え?」

私が答えたら、それを社長への回答にするつもりでいるのだろうか。

プレッシャーなんですけど。

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