専務が私を追ってくる!

そっちこそ、私の気持ちも知らないで他の女の話なんかしないでほしい。

私がどんな気持ちで一緒に働いていると思ってるの。

「一体私に何を期待されているのですか?」

「励ましの言葉とか」

「じゃあ、頑張ってください」

「……全然心が込められてないね」

私は冷たい視線を送り、パソコンの電源を入れて業務の支度を始める。

修はバタバタし始める私の方をぼんやり見つめながら、深いため息をついた。

辛気くさいったらない。

「そんなに会いたいなら、今のうちから彼女に時間を取ってもらってはいかがです? 来週もまた東京ですよね。スケジュールに組み込みましょうか」

パソコンに向かいながらチラリと横目で彼を見ると、余計に落ち込んだような顔をして再びため息をついた。

「連絡先、知らないもん」

「……は?」

脈がないっていうのは、連絡先さえ教えてもらえないレベルなの?

それなのに粘るって、どうやって?

この人バカじゃないの?

会えないなんて当たり前じゃない。

粘ってみてるって、何をやって粘ってるんだろう。

まさか、東京中をさ迷い歩いているとか?

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