専務が私を追ってくる!
安っぽい服など着ようものなら鼻で笑われ、課内での発言力を失う風潮。
誰もが必死に強かで華やかで美しい女を演じているが、中を知ればとても醜い。
私はそんな文化にピッタリの人間だった。
だから配属されてから早いうちに勝ち組としての地位を確立できたし、長い間おいしい仕事ばかりを選べる立場をキープした。
己を守るために負け組の女たちをいびることもいとわなかったし、私を貶めようとする者には容赦なく攻撃的に接した。
私は強く美しかった。
しかし、心はとても醜かった。
他人が自分の下のいるのを見てほくそ笑む、性根の腐った嫌な女だった。
今思えば、その醜さに鳥肌が立つ。
そんな私の内面が半年少々の努力で浄化されたとは思わないが、二度とそんな自分に戻らないよう細心の注意を払っている。
この会社の秘書には勝ち組も負け組もない。
園枝さんのように、ベテランになっても謙虚な気持ちを忘れてはいけない。