カルチャー
この場に憶測が飛び交っている中、私は上川に視線を向けた。

上川は空っぽのグラスを手に持ったまま、呆然としていた。

ある意味、仕方がありませんよ。

佐合のお怒りを買ってしまったあなたが悪いのですから。

このまま放って置こうかと思ったけど、私の躰は勝手に動いていた。

自分でその場から立ちあがったかと思ったら、足は上川の方に向かっていた。

「部長」

呆然としている上川に、私は声をかけた。

「――えっ…ああ、内山か…」

上川は私に視線を向けると、私の名前を呼んだ。

私に向けたその視線は、どこかうつろだった。
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