カルチャー
上川はグラスに口をつけた。

意外だと、私は思った。

いつもいい加減な態度をとっているけど、本当はそう思ってたんだな。

タンと、テーブルのうえにグラスを置くと、
「もしかしたら、俺には結婚は似合わないかもな」

上川が言った。

「そんなことないと思いますよ」

私は言った。

「んっ?」

上川は訳がわからないと言うように首を傾げた。

「部長だって、結婚できると思えばできると思いますよ」

こいつを励ましたって何のためにもならないのにな。

と言うか、こいつのことには一切口を出さないって決めたじゃない。
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