カルチャー
「どうやって落ち着けって言うのよ!」

上川に向かって叫ぶように、私は言った。

「こんなことやってるヒマがあるんだったら、彼女とさっさとヨリを戻しなさいよ!

別れる理由に私を出されても困るのよ!」

「内山、だから…」

それでも何かを言おうとする上川に、
「もういい加減にして!」

私は言った。

「合鍵を返して!

荷物も全部表に出すから、もう2度と私のところに戻らないで!」

言い終わった後、上川に向かって手を差し出した。

「早く合鍵を返して!」

そう言った私に、
「いや、待て。

俺、帰れないんだけど…」

上川が戸惑ったように言った。
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