桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
病院に着くと、沙耶が
涼のいる場所に案内してくれた。
「今日の朝、一回少し
手が動いたんだ。
それで、さっき目覚ました」
沙耶がそう説明してくれた。
沙耶は、退院したというのに
涼が倒れてからは毎日
病院に来ているらしい。
「沙耶……」
「ん?」
「なんか、いろいろありがとう」
「え? 急に何? 照れるじゃん」
泣き虫な私にいつも
温かい言葉をかけてくれて。
こんな私と、友達になってくれて。
ありがとう。
沙耶は、私に初めてできた、
“本当の友達”。