桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
出逢い
チュンチュン。
窓の外から聞こえる
小鳥のさえずりで、
私は目を覚ました。
窓から、
思わず目を細めてしまうような
太陽の光が差し込んでくる。
暑い……。
私、佐々木 絢香の
一番の弱点は、
暑がりだってこと。
「夏なんて…大っ嫌いっ!」
何て一人で呟きながら、
服に着替える。
今は、夏休みまっ盛り。
外からは
セミの鳴き声が
嫌なほど聞こえてくる、
そんな私の一番嫌いな季節だ。
そして私は、
まだ寝ぼけたまま
1階に続く階段を下りて、
キッチンに向かった。
お母さんとお父さんは、
とっくに仕事に出かけている。
だから、
私はいつも家にいる時は、
妹の鈴香(りんか)と二人だけ。
でも―――今年は、
私一人っきりなんだ。