桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
ガラッと扉を開けると、
涼がベッドの上で
横になっていた。
「…何で、私のこと呼んだの?」
小さな個室に、私の声が響く。
「…君に、お礼を言いたかったんだ」
「え?」
「今日、助けてくれてありがとう」
あ……朝のことか。
「助けるも何も……
私は、先生を呼んだだけだよ」
本当に、そうだ。
看護師さんに言って、
先生を呼んでもらった、
私のしたことは、それだけ。