桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー



ガラッと扉を開けると、

涼がベッドの上で

横になっていた。


「…何で、私のこと呼んだの?」

小さな個室に、私の声が響く。


「…君に、お礼を言いたかったんだ」

「え?」


「今日、助けてくれてありがとう」

あ……朝のことか。


「助けるも何も……

 私は、先生を呼んだだけだよ」


本当に、そうだ。

看護師さんに言って、

先生を呼んでもらった、

私のしたことは、それだけ。





< 26 / 222 >

この作品をシェア

pagetop