桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー
「名前。涼……だよね?」
「え?」
涼は、自己紹介もしてないのに
なんで僕の名前を知ってるんだ?
っていう顔をしてから、
すぐに笑顔になって
こくりと頷いた。
病室の扉の横には、
『相澤 涼』
と書いてあった。
今の会話は、端から見たら、
すごくぎこちない
変な会話だったと思う。
涼の病室に来るの、嫌だったけど…
今は、来てよかった、と思ってる。
涼のことが、もっと分かった。
自分の病気のことなんて、
人に話すの……勇気がいると思う。
話してくれた、それがうれしい…
あれ?
なんだろう、この気持ち。
涼のこと、もっと知りたい。
そう思ってしまうんだ。